【科学】人間の記憶は移植できるし、ピンポイントで消去できる 脳科学者に聞く「記憶と閃きのメカニズム」
■「人間は記憶の集合体」脳科学者・井ノ口馨氏が語る 記憶と閃きのメカニズム
CIAエージェントの記憶を移植された囚人が巨大なテロを阻止するために闘う、タイムリミット・スパイアクション映画『クリミナル 2人の記憶を持つ男』が2月25日に公開される。
本作の公開に先立ち、富山大学大学院教授・井ノ口馨氏に最新の記憶研究について話を聞いた。
■「記憶を操作する」ことは可能か
今作は仮死状態にあるCIAエージェントの記憶をケヴィン・コスナー扮する死刑囚ジェリコに移植するという、「記憶移植」の物語となっています。
そもそも、記憶の移植というのは可能なのでしょうか。
井ノ口 馨(以下井ノ口):未来の可能性で言えば、「記憶の移植」は可能になると思います。すでに私たちの研究室では、マウスに偽の記憶を植え付ける実験を行い、成功しています。同じことを人体に行うとなれば、倫理的な問題もあるので難しいところではありますが。
記憶についての研究はかなり進んでいるんですね。
井ノ口:現段階でも「どのように記憶するか」という部分はかなり解明されてきています。まず、記憶は神経細胞の結びつきのパターンによって保存されています。 脳にある神経回路は1000億から数千億個あるといわれていますが、Aという記憶にはそのうちの数パーセントを使った組み合わせが、Bという記憶にはまた別の組み合わせが、というような形です。
その組み合わせを計算すると、少なく見ても(10の11乗)の(10の11乗)乗。 これは宇宙にある原子の数よりも圧倒的に多い。宇宙の原子の数は10の80乗といわれていますから、それ以上となると記憶の容量はほぼ無限ですね。
もちろん、人間が脳のすべてを使えているわけではないので、これはあくまで脳が持つ能力の話になります。
一方で、「忘れる」ことに関してのメカニズムはまだあまりわかっていません。ただ、特定の記憶をピンポイントで「弱くする」あるいは「消す」といった記憶を操作する技術は、海外ではすでにPTSDの治療などに使われ始めているんですよ。
ピンポイントで記憶を消せるんですか?
井ノ口:記憶は思い出す度に少し脆くなる性質があるのですが、脳は自動的に記憶を元の状態に戻します。これを記憶の「再固定化」と呼んでいるのですが、この「再固定化」のプロセスを薬品によって阻害することで記憶を弱くすることが可能です。
お酒を飲み過ぎて記憶がなくなることがありますが、これはお酒によって記憶を固定化するプロセスが阻害され、新たな記憶が脳に保存されなかったということです。
だから、古い記憶や習慣だけがうまく働いて、「記憶はないのに家には帰れた」といったことが起きるんですよ。
覚えていたはずなのに、「人の名前が思い出せない」「用事を忘れてしまう」といった状態もありますよね。
井ノ口:物事を思い出せないときは、本当に記憶が残ってない場合と、記憶は残っているのに思い出せない場合があります。 記憶の引き出しには残っているけど、見つけられないだけといったような。
ただ、こういった「思い出す」メカニズムに関してはまだまだ分かっていないことが多いですね。
今回の映画では手術をした後、移植した記憶がすぐに整理されて思い出せるようになるわけではなく、フラッシュバックのように断片的な記憶が呼び起こされていました。
この描写には非常にリアリティを感じました。本来、人の記憶が入ってきたときというのは何が起きているかわからないはずなんです。この記憶は自分のものなのか、他者の物なのか、そういったことも理解できないはずですから。
忘れてはいけないことをしっかりと記憶しておく方法はあるのでしょうか。
井ノ口:記憶を強くするには「関連づけ」が有効です。よくある記憶法に「周囲の景色をあわせて覚える」というものがありますが、単なる周囲の情報と結びつけるよりも記憶を強くする方法があります。それは感情に働きかける物と記憶を結びつけることです。
http://blogos.com/article/211137/?p=1
「いい匂いがした」「美人がいた」「怖い人がいた」など、エモーショナルな情報と記憶を結びつけると、似たような体験をするだけで思い出せるようになりますよ。
ケンカしたときに「あの時こう言ったでしょ!」と過去の出来事を持ち出す人がいますが、これは怒っているとき、つまり感情が一番高ぶっているときの記憶なので、怒りによって次々に過去の記憶を思い出してしまっているんですよね。
特に女性は言語能力が優れているので、記憶力の強い方が多いのかも知れません(笑)。
■閃きを生む「デフォルトモードネットワーク」
現在、AIの研究が進んでいますが、コンピューターが人間の能力を超える日は来るのでしょうか。
井ノ口:AIの研究も進んでいますが、記憶に関わるAIにできないことの一つに、「閃き」があります。人間が普段行っているような直観的な選択は、網羅的に組み合わせを計算して最善の選択肢を選ぶAIには難しいのではないでしょうか。
「閃き」も記憶に関係があるんですね。
井ノ口:前提として、閃きというのは、過去の経験や情報など、これまで関連づけられていなかった記憶が脳の中で突然関連づけられた時に起こるとされています。 そのため、記憶とも密接な関係があるはずです。
諸説ありますが、閃きが生まれるメカニズムには、脳の「デフォルトモードネットワーク」が大きな役割を果たしているのではないかといわれています。
意識して課題を解こうとしている時の脳の状態を調べると、海馬や大脳新皮質といった部分が活動しているのですが、課題が解けずに諦めてしまったあとにも、脳が自動的に課題を解こうとしていることが分かっています。
そしてこの時活動しているのは、意識して課題を解こうとしているときに休んでいる部分なんですよ。 この自動的に働く脳の部分をデフォルトモードネットワークといって、閃きの元になっているのではないかと考えられています。
デフォルトモードネットワークが働くのは、満員電車に揺られているときや温泉に入っているときなど、人それぞれにパターンがあるようです。
ただ、課題をすぐに諦めてはデフォルトモードネットワークも動いてくれないので、やはり徹底的に考えることは必要になりますね(笑)。
記憶研究の将来はどうなるとお考えですか。
井ノ口:記憶は人間のアイデンティティーのほぼすべてと言っても過言ではありません。何も記憶できない人間がいたとしたら、言葉も喋れないし、自分が誰だかもわからない。
そういった意味では、人間は記憶の集合体なんです。だから、記憶を研究していけば、人間の全てがわかるのではないかと思っています。
今回の映画では他者の記憶を移植されることによって、「人間らしい感情がない」とされていた囚人の人格が少しずつ変わっていきますよね。そういった演出によっても人間にとっての記憶の重要性がしっかりと描かれていると感じました。
もちろんこれは映画の中の話で、記憶を移植することによって人格を変えてしまうというのは倫理的に許されることではありません。
私たちは記憶の研究を進めていくことで、PTSDなどの治療に役立てたり、より人間らしい人工知能の開発の一助になればと考えています。
以下、2chの反応
記憶・・・
それはいつも、はかない・・・
つらい記憶を消せる時代が来ればいいな
俺の事じゃないが
今がどうであれ一度心が壊れてしまったら 壊れたテープレコーダーのようにその時記憶をいつも繰り返してだけのような 悲しい人になってしまう・・
消したい記憶はいっぱいあるなぁ。
楽しい記憶を売る商売も始まる
マッドサイエンス
脳科学者ってこんな適当な事言っても良いの? 俺もなろうかな
>>14
何を今さら
全部ホラ吹きと思っててちょうどいい
記憶は神経細胞の結びつきのパターンによって保存されています。
久々の正論だった。
最近、胡散臭い脳化学者が多いので返って新鮮に聞こえる。
そうなの?
PTSDやうつ病など精神的なことはまだ解明できてないから PTSDやうつ病で死んだ人の脳の献体を募集してるってBBCでやってたけど
頭も良くできるのか?
何年後かに進化して
人間にUSB差し込み口とか SDカードスロットとかつくんじゃないのかな?
>>19
俺も同じこと考えていた
いわゆる暗記物の知識なんか、外部から直接脳に定着させてしまう そして人間の脳がやることは、加えられた知識を関連付けて思考することに専念する
知識だけあじゃダメだけど、知識がなきゃどうにもならんからね
他人の記憶をインストール 技術や経験を買える時代に
クローンに自分の記憶を移植して若返りや甦り
空想楽しい
>>21
こういうSF系の記事見てるといつも思うんだが
仮にクローンに記憶を移植しても 他人が認識する上では同一人物だが 自分の主観からすれば、自分の記憶持った別の個体だから、若返りや延命にはならんのではないか
>>34
DNAや遺伝子より、記憶の方が重要なんだよ 身体なんてものは記憶装置の乗り物
生殖行為して産んだ子供は遺伝子やDNAは受け継いでいでいても記憶までは引き継げないから、ある意味では記憶移植したクローンよりも他人
>>47
禿同
Aという個人のDNAは子供には半分しか残らない 孫に至っては4分の1、ひ孫になると8分の1になっている Aからすると 8分の1のA などというものはほとんどAではなくなってる
そうするとA個人の考え方そのものを継承した赤の他人のほうが Aからすると真のAの子であると言える
>>21
アンパンマンを思い出した
なんか傷ついた頭とキレイな頭を交換するんだけど、捨てられた方の頭が何これ?って感じで 新しい頭がついた体を見てるの。使い捨ての頭の方が結局本体だったっていう
>>58
超絶シュールやんw
>>21
クローンに記憶移植って単に他人への記憶移植でしかない気がする 遺伝子的に同じ人間は別人格別個体として存在できるのは一卵性双生児で実証済みだし
トラウマをうまく消すとかならいいが絶対悪用されそうだな 生きてる間は実用性なんてなさそうだしSFアニメのネタにはなるかな
嫌な記憶は消したいけど、そのおかげで成長してる部分あるしなー
人間の脳を完全にコピーしたとして、そこにゴーストは宿るのか?
超絶リア充の記憶を移植して欲しい まれにいるだろ?生まれも育ちも頭も良くて、人間関係にも恵まれ常に彼女がいるみたいな
勉強とかから寝てる間に見る夢とかも記録出来る装置あれば便利だけどな~
非接触型の携帯装置で脳波だか何だかを読み取ってあらゆる記憶を引き出したり、夢の録画から授業に集中している時の情報の記録までやってくれたら楽なんだけどな~
そういうのが普及した時に、人間みんなの記憶しているレベルにあまり差が無くなった時に芸術分野の作品とかに個人差ってやはり出るのかな?
脳にもハードディスクのような記憶装置はあるだろうから移植も消去も出来るだろうよ。 それが化学反応というところが凄いけど。
記憶の操作とかよりも夢をあとから見直せるようにならないかなぁ おもしろい夢でも目が覚めるとすぐに思い出せなくなる
>>1
逆に良かった記憶を強めたりして幸福感を高める事もできるわけか でもそれに慣れてしまうと日常の小さな幸せに鈍感になってしまうか
パニック障害持ちのワシは、発作の記憶だけ消す技術の医療適用を 心待ちにしてる。予期不安は今の薬では抑えられんからな。