それからは彼女とは距離ができ あまり連絡も返さなくなっていった
逆にバイト先で会って話す上に 慕ってくれるA子とは仲良くなっていった
「彼女さんと上手く行ってないんですか?」
A子から聞かれた俺は 「うん、まぁ色々あってね」 深くは語らずにそう言った
「ダメですよ彼女さんとは話した事ないけど 綺麗な人だし優しそうな人じゃないですか 俺さんも優しくしてあげないと」
「そうだな優しくか…」
そんな風に時々A子は彼女の心配もしてくれる 優しい子なんだな 少しずつ俺はA子に惹かれてたのかもしれない
彼女にもキツく言い過ぎたか 犯人なんて決まってないのにな
俺は少し反省しながら
今度彼女に優しくしてみるか そんな風に思っていた
それから今まで通りには行かなくても 多少は彼女に優しく接していた
歯車が大きくズレたのはこの時からかもしれない
ある日の朝彼女から電話があった あれ以来やり取りはメールでしかしてなく 電話なんてしてなかったから 気になって電話に出ると
「俺君、私全部分かった 私達を嵌めたのはA子ちゃんだよ 私昨日歩道橋の階段から落ちて今入院してるの 落ちる瞬間A子ちゃんが見えたの、本当よ」
俺は何言ってるんだこいつ状態だった
「A子がそんな事するわけないだろ バイト先でも いつもお前の事気にかけてくれてるんだぞ?」
入院してるのは心配したが その後のA子が犯人 これは信じられなかったし 彼女が俺にもう1度振り向いて欲しくて 嘘をついてるとしか思えなかった
「落ちる時はっきりとA子の顔みたのか? 周りに目撃者は?」
そう聞くと
「はっきりとは見てない…けど… 周りに人もいなかったと思う…」
「そんなにA子を犯人にしたいのか A子にも一応聞くけどさ」
そんなやり取りを続けて 俺の方から電話切った
バイト先に向かい 先に来ていたA子に聞いてみた
「A子昨日の夜は何してた?」
「私は昨日は家でテレビ見てましたね」
「そうか、ならいいんだけど」
「どうしてそんな事聞くんですか?」
「いや、うーん彼女から朝連絡来てな 入院してるって言われて A子に突き飛ばされて階段落ちたって言ってるんだよ」
正直に話してみると
「私はしてませんよ?
けど、彼女大丈夫ですかね 入院って心配ですね」
やっぱりこの子は優しいな 犯人扱いする彼女すら心配するなんて
「大丈夫だとは思うけどね
頭でも打っておかしくなってるのかも まぁお見舞いに言ってみるよ 変な事聞いてごめんね」
入院してる彼女に会いに行った
病室に入ると ベッドに横になりながら彼女が
「俺君来てくれたんだ…」
「あぁ、大丈夫か?」
「何ヶ所か骨折してるけど
命に別状はないから大丈夫よ」
「そうか、そう言えばA子に聞いたけど あの日はテレビ見てたってさ 内容まで言ってくれたよ やっぱり見間違いなんじゃないか? お前の事心配してくれてたぞ」
「いえ、絶対A子ちゃんよ… 俺君は騙されてる」
「どんだけA子を犯人扱いすればいいんだ お前なんかよりよっぽどA子の方がいい子だよ」
あまりにもA子を犯人にしたがる彼女にムカついて 酷いことを言ってしまった
「そう…」
そう呟く彼女の言葉を聞いて俺は病室を出た
せっかく優しくしようかと思ってたのに またA子の事を言われて優しく出来なかった
彼女と真剣に向き合えばA子の話になり お互い少しずつだが会話が減ってきた 彼女との会話が減るたびに A子への思いが増えてきた
そんな思いで関係が続くはずもなく 俺は自然と電話を掛け 彼女に別れを告げていた
「もしもし、俺だけど 突然で悪いがもう俺達別れないか?」
彼女は 「そう…分かったわ」 とだけ言い電話を切った
俺は思っていたよりもあっさりと別れた彼女に 少しだけ驚きつつも A子にどう告白するか悩んでいた
彼女と別れた後に数日は経ってるが あれだけ俺と彼女の心配していた A子の事だ
彼女と別れてすぐ告白するような 男を好きになるはずがない 俺は勝手にそう思い告白出来ずにいた
A子と帰りの時間が被ったある日
「俺さん、最近悩み事でもあるんですか?」
驚いたがA子は俺が悩んでるのを 分かってたみたいだ
「悩みと言うか…彼女と別れてな」
俺がそう言うとA子は
「え…?もしかして振られたんですか?」
「いや、俺から振った
最近上手く行ってなかったし 好きな人が出来たからな…」
「どんな人ですか?見た目は?年齢は?」
やけにA子が食いついて来るが 俺はチャンスはここしかないと思い
「A子だよ、好きな子は」
A子は少しの間無言になり そして口を開いた
「私も俺さんの事ずっと前から好きですよ…」
「だから彼女さんの事私許せなくて 私の方が俺さんの事好きなのに
なんで私がバイトしたか知ってますか?
俺さんの近くにいるためですよ
コンビニに買い物来た時に俺さんを見掛けて あ、この人が私の運命の人だって分かったんですよ
駅で丁度彼女さん見付けたから 自分で転けちゃいましたよ、痛かったんですよ ちょっとずつ私を好きになってもらいつつ 彼女さんの事を嫌いになってもらうのは 大変でしたよ
ある日彼女さんを見つけた時 こいつのせいで私が転けたんだから こいつも同じ事してやらなきゃって 顔見られたんで焦りましたけど 俺さん馬鹿なんで気付かなくて良かったです」
俺は頭が真っ白になって言葉が出てこない
「俺さんリストカットって知ってます? あれ、手首だとバレるんで 私はお腹切ってるんですよ お腹だとバレないんで」
俺はA子の豹変ぶりに恐怖を覚えた
「じゃ…じゃあ、なんで今そんな事を俺に言うんだ 嫌われたいのか…?」
するとA子は笑みを浮かべると
「運命の人には全部知ってもらわなきゃ ダメじゃないですか 運命の人なんだからこんな事で嫌いになりませんよ なりませんよね?」
俺は恐怖のあまり逃げ出した
家に着いてから
バイトだってやめよう
A子とは顔合わしたくない…
彼女の言ってる事は本当だった
なんで信じてやれなかったんだ…
そんな事ばかりが
頭の中をグルグルと渦巻いていた
次の日バイトの時間になっても 俺は部屋に篭っていた A子はヤバい…もう顔も見たくない そんな事ばかり考えていたら 店長から電話が
「俺くん今日どうしたの?
休むなら休むで前もって言っててくれないと A子ちゃんも急に辞めるって言って 辞めちゃったしさ…」
A子が辞めた?
なら俺はバイトを辞めなくていいか わざわざ辞めたなら客としても来ないだろう
俺は店長に 「本当すみません、今から向かいます」 と言い店長は 「分かった、早く来てね」 とだけ言って電話を切った
多少の警戒はしつつも
バイト中にA子が現れる事はなかった 帰る時間になって荷物を出していると店長が
「そう言えば俺くんA子ちゃんと仲良かったよね 辞めた理由とか聞いてない?」
と聞いてきた
「分かんないですね、そういう話は聞いてないので」
実際は俺との事でやめたと思うが それを言う気にはなれなかったので 嘘をついて知らないふりをした
家に帰る道も警戒はしていたが 何事も無く いつも通り家に着いた
風呂に入ってる時に あぁ彼女にも謝らなきゃな 許されないだろうけど 酷い事も沢山言ってきたしな…
風呂から上がり彼女に電話を掛けるが 電話に出ない 二、三度掛けるがやはり出ない
この時間は家にいるはずだから やっぱり嫌われたな まぁ仕方ないか そう思いながらもメールを送った
今までの謝罪、今までの感謝 そんな内容のメールだ
そして眠りについた
起きるとお昼に近い時間だった 何気なく携帯を見ると彼女からの着信が3件も来ている メール読んでくれたのかな やっぱりちゃんと電話でも謝ろう そう思い折り返しかけ直す
何コールかした後に繋がった
「もしもし、俺だけど…」
すると聞こえてきたのは男性の声だった
「もしもし、俺くんで間違いないかな?」
「はい、そうですが…彼女さんは?」
「…すまない、娘は今電話に出れなくてね 今から家に来て貰えないだろうか」
「はぁ…構いませんが、彼女さんの家でいいんですね?」
「ありがとう、待ってるよ」
そう言って電話は切れた
彼女の父親が電話に出るなんて どうしたんだろう 不思議に思いながらも 俺は彼女の家に向かった
まさか・・・
ドキドキ。。。
ピンポ-ン
俺はインターホンを鳴らす
彼女の父親が出てきてリビングに案内された
「急に呼び出してすまないな」
彼女の父親が話しかけて来るが 頭に入って来ない 俺はその部屋の一角に置かれた 彼女の大きな写真から目が離せない あれはなんだっけ…
やけに頭が重い
写真の前に置かれている 陶器らしきもの いったいどれほど時間が経ったのか
すると 「これを俺くんに読んでもらいたい」 彼女の父親がそっとノートを渡してきた
そのノートは日記帳だった
今までの思い出が書かれ 料理が下手なくせに
俺くんは〇〇が好きらしい 頑張って作ってみようや
嫉妬し過ぎで俺くんに嫌われちゃったかも
リストカットももう二度としない
などの反省の内容も
彼女は彼女なりに努力してたんだな… そう言えばいつも俺の事気にかけてくれてたな…
読み進めていくと
俺くんの誕生日プレゼントを買った 当日までバレないようにしないと
と言った事が書かれていた
日付は
やけに彼女が嬉しそうにしてた日だ…
尚も読み進めると
別れの言葉のようなものが書かれていた
お父さんお母さんごめんなさい もし俺くんから連絡があったら 彼にこのノートを渡してください
俺くん今までありがとう
私が生きてきた今までで一番好きだし愛してます 本当はずっと一緒にいたかったんだけど 無理そうなので…
束縛や嫉妬も重すぎたね
少しずつ直してたんだけど たくさん傷付けてごめんなさい
私の事忘れて好きな人を作ってください
なんて言いません
だって私が一番俺くんを好きになれると思うから けど、私は俺くんの隣に立つ資格は無いです
俺くんは優しいからそんな事ない 俺の方が悪いって思って自分のせいに しそうだけど そう言うのは嬉しくないからやめてね
それでも悪いと思うなら これから先 俺くんが本当に好きになれる人を探してください
そして見付けたらこのノートを燃やして 私の事も踏ん切り付けて 私の最後のお願いです
色々
恥ずかしい事も書いちゃったけど バカにされないから平気かも
自然に涙が流れ出る
「彼女は…」
少し間を置いて
「睡眠薬を飲んでね、練炭だよ…
けどね、私達は俺くんを恨んじゃいないから 俺くんも自分をあまり責めないでね」
「すみません、俺のせいです…」
「いや、違うんだよ
娘は顔に大きな傷を負ってね」
顔に傷?どういう事だろうか
「どういう事ですか?」
「顔を刃物で切り付けられてね 娘に犯人の特徴を聞こうにも錯乱しててね 犯人は数日後見付かったんだが… その子は責任能力無しで入院になった」
「犯人の名前はなんて言うんですか…」
「佐藤A子、忘れたくても忘れられない名前だよ」
俺はその名前を聞いた瞬間 サーっと血の気が引いた
あいつだ、A子だ…
彼女の両親と話は終わり ノートは俺が貰うことになった
そこからは彼女だけがいない日々が続き 3年が経った その間も時間を見つけては 彼女の家に行き 彼女の両親と話線香を供えていた
自分勝手な贖罪だ
許してもらうとかそういった事じゃなく ただ自分がしたいからそれだけ
3年も経つのに彼女との日々は 昨日の事の様に思い出す これじゃ、好きな人なんて 当分出来そうもない
そんな事を1人考えて過ごしていると
ピンポ-ン
インターホンが鳴った
ドアを開けて出てみると 帽子を深く被った女性が立っていた
なんだこの人と思いながら 俺は女性に声を掛けた
「どうしたんですか?」
すると女性は顔を上げ ニヤニヤした顔でこう言った
「やっぱり運命の人だ」
こえーよ
気が付くと俺はベッドの上で寝ていた
やけに体が重い
腕には数本の管が通っており 腕を動かしにくい
すると看護師が現れて 「俺さん気が付きましたか?」
そこから警察も来て話を聞いていくと どうやら俺は玄関で血を流しながら倒れていて それを通行人が見つけて 救急車を呼んでくれたらしい
調べてみると
左腹に2cm程の刺傷があったらしいが 内臓までは傷付いてなかったらしい
傷から見てカッターや それに似た刃物で刺されてる事などを聞き 犯人はどんな人だったかなどを聞かれた
覚えてる事を話てその場で話は終わった
それからまた数年経ったが 未だに心と体には傷跡が残ってて ノートは未だに燃やせずにいる
今では県外に出て 別の所で暮らしてるんだが 最近駅の中の人混みを歩いてると 遠くの方からこちらに歩いてくる 帽子を深く被った女性が目に付いた
そしてすれ違いざまに 「やっぱり運命の人だ…」 はっきりとそう聞こえ振り返ったが もうその女性はどこにも居なかった
そして昔の事を思い出して 2ちゃんに書いてみたんだ そうあの時もこんなに暑い夏の日だった
おわり
メッチャ怖かった
メンヘラとやって追跡されたとき思い出した
>>61
メンヘラは感がいいのか鼻がいいのか 教えてもないのに家バレするからな… 付けられてたのかもしれないが
創作な上怖くない
実話なんだが
信じれないならそれで構わない
証拠もノートと傷跡くらいしか無いし ノートは見せたくないから ほぼ証拠もなしだしな
そのA子はどうなったの
まさか野放しじゃねーだろうな
>>63
俺を刺した後、俺の証言で 警察に捕まったらしいが やっぱり責任能力なしで入院になったらしい
その後は分からない
出てきてるかもしれないな
下手な心霊なんかより生きてるキチガイのが怖いといういい例
メンヘラと付き合ったことはないがこれが実話だとしたら凄いな…
メンヘラが全部当てはまるかは 分からないが 案外最初はめちゃくちゃいい子が多い気がするな 付き合ったらとか付き合ってくうちに 本性が出てくる
大前提だけどリスカ跡あるような子は メンヘラが多い まぁA子みたいに腹や太ももを 切ってる子は気付きにくいが
日記うp
>>72
内容はすまんが見せれない 彼女を晒したくはないんだ
表紙なら見せれるが
ただのノートでしかないからなぁ…
全部読んだら昔付き合ってたメンヘラ思い出した
俺の場合は別れ話きりだしたら台所から包丁持ってきて 俺の首に突きつけ「滅多なこと言うもんじゃないわよ」って凄まれた
面白かったし創作でも実話でもどっちでもいいや
おもしろかった
乙乙