78: 2018/05/20(日)16:18:26
『小さな町工場』
プロ占い師で、バイトでお祓いみたいなこともやってる友人から聞いた話。
「工作マシンの下を、たまに影みたいなものがスッと動く。軽い足音を聞いたという家族もいるから見てほしい」という客の依頼で、ある小さな町工場を訪ねたら、確かに工場の中に5歳ぐらいの男の子がいた。
100年ほど前に亡くなったその家の先祖で、彼には轟音を立てて動くマシンが大きなオモチャのように思えるらしく、マシンが動き出すと嬉しくてウロチョロしてしまうのだそうだ。
座敷ワラシの類で実害はないのだが、その男の子は叱られると思ったのか、「ボクのどーゆーところが怖いデスカ」と泣きそうな顔で聞いてきたので、思わず吹いたと言っていた。
その家は、工場の中にジュースやお菓子を備えるようになって、以後、何事もなく過ごしているそうだ。
81: 2018/05/20(日)16:24:30
『精神科医の伯父』
伯父さんは地元の病院で精神科医・・・というより、『薬とかの治療で治せない患者さんの話し相手になって、症状を精神的な面から改善させる』みたいな仕事をしてた。カウンセラーって言葉を使えばわかりやすいかな。
親父とは二人っきりの兄弟ってこともあったんだろうけど仲が良くて、よくうちに遊びに来ては、まだ小学校1、2年くらいだった俺と遊んでくれたり、やっぱお医者様だから羽振り良かったのか、お小遣いくれたりして本当大好きな伯父さんだった。
で、その伯父さんに最後に会った時のこと。今から4年前の冬休み。だからちょうど時期的には今頃だな。
その年の4月から地元を出て札幌の高校に行っていた俺は、母さんから「××さん(伯父さん)も来るから、お正月くらい帰ってきなよ」って言われてて、どーせ大掃除手伝わされるんだろマンドクセとか思いながらも、母さんの栗きんとんと伯父(およびお年玉)目当てに、久しぶりに帰省してきた。
伯父さんはいつものように客間に泊まってたんだけど、挨拶しに行ってまずびっくりした。
俺の記憶の中の伯父さんは、やせ気味の貧乏神ライクな親父と対照的に、
100キロくらいありそうな縦も横もでっかい人だったんだが、それが親父以上にガリガリになってた。髪もぼっさぼさで、ものごっつアウトローな感じに。
まあ、その時は「どーしたの伯父さん。めっちゃかっこよくなってんじゃん」とか言って笑ってたけど。
その夜、飯食ったあとに、なんか解らんけど親父が風呂行って、母さんが台所に引っ込んでーって、居間で俺と伯父さんだけになった。
最初は昔話とか『おまえ札幌でちゃんとやってるか』的なこと聞かれたりとか、ふつーに話してたんだけど、ふと伯父さん真顔になって、「今、子供の声聞こえたか?」って。
伯父さんは酒ダメだったし、別にふざけてるとか俺を脅かそうってわけでもないっぽい雰囲気だったので、ちょっと怖くなりながらも(当然ながら我が家で最年少は俺)「聞こえんかったよ」って言うと、「そうか、やっぱりな・・・」って哀しそうな顔でこんな風に言うんだよ。
「伯父さんさ、最近聞こえるんだよ。どこにいても、子供の声がいろいろ命令して来るんだよ」
83: 2018/05/20(日)16:25:34
(つづき)
伯父さんの仕事は前述の通りなんだけど、その病院ってのが医療施設というより、もはや『本気で重症な奴の隔離場』みたいなとこで、建ってるのは山の中だし、窓には全部鉄格子がはめてあるようなとこなんだよ。
いつか患者が逃げたってニュースやってたから、それでテレビに出たのを見た人もいるかも。
それで、そのカウンセラーの仕事自体も紙一重なところがあって、電波が移るっていうの?
あんまし真面目な人だと、電波さんの話をちゃんと聞きすぎて、影響受けて自分もいろいろ支障をきたしちゃったり、ってこともよくあるらしい。
伯父さんの話だと、同僚の女の人が一人「音波が脳に刺さるのが見えてきた」とか言って、自分ちで首吊っちゃったってことが、その頃あったんだって。
他にもいろいろ話してくれたけど、『音波が脳に刺さる』ってフレーズだけやたら印象に残ってる。「俺もそろそろかなぁ」って伯父さん、空元気ってのとも違う感じで、妙に楽しそうに笑ってたよ。
で、伯父さんおもむろにテーブルにあがってたみかん掴んでさ、「見えるか?」って。「何が?」
「くっつき虫(だったか)だよ。ほら、またにゅるにゅる出てきてるだろ。 白いのにゅるにゅるうごめいてるだろ・・・何食べようとしてもこいつら出てくんだよ。 食ったら身体乗っ取られちゃうよ」
伯父さんがここまで痩せた理由もそれだったという。ろくに飯も食えてないっつってた。
近頃は寝るのもつらいとも言ってた。寝てる伯父さんを、天井から誰かが見てるんだって。
最後に「ごめんな」って言って、伯父さんは居間を出て行った。
でも、そういえばその時はまだ、俺は伯父さんが怖い話をして脅かしてやろうとしたんだと思ってた。
次の日、家族の誰も起きる前に伯父さんは帰ったらしい。布団も片づけてなくて、本当に着の身着のまま、まるで何かから逃げるように。
母さんの話では、その後は電話とかしても全然つながらなくなっちゃったらしい。
85: 2018/05/20(日)16:25:53
(つづき)
その一ヶ月くらい後に、伯父さんは事故で亡くなった。
中央分離帯に突っ込んだらしいんだけど、葬式の時、親戚からこんな話を聞いた。
伯父さんは自殺だったんじゃないかって。見てた人が証言したらしいんだけど、伯父さんの車、地面が凍ってたわけでもない道路で今までまっすぐ走ってたのを、急に自分から分離帯に突っ込んだそうだ。
よく解らないんだけど、そーいうのを勉強してる専門家なら、自分がそろそろやばいってこととかもわかるもんなのかね。
なら伯父さん、自分がイッちゃう前に、最後に親父やお袋や俺に会いに来てくれて、それで廃人になる前に自分で命を絶ったのかなー・・・なんてさ。
ま、それで終わってれば綺麗な話なんだけどさ、親父が葬式の後、帰りの車でぽつりと、
「そういや、アレは事故の前の日だったんだな。夜中に留守電入ってて、それが兄貴だったんだよ。なんか気持ち悪くて消しちゃったんだけど、あの病院って子供もいるのかな」
親父の話だと、伯父さんのメッセージは酔ったような声でたった一言、
『俺、命令されちゃったよ』
それで、その声に隠れるように、子供っぽい声が何人も『死ね』『死ね』っつってたらしい。
そんな兄が死んだのネタに怖い話するような局面でもないし、本当のことなんだろうけど・・・
親父は今も元気なので、別に電波受信したりはしてないようですが。
86: 2018/05/20(日)16:27:55
結構長いのもあるわすまんな
87: 2018/05/20(日)16:28:16
『空へ落ちる』
ある少年は、糸が切れて飛んでいく風船を指差し「風船が空へ落ちていく」と言った。父親は、あれは飛んでいくと言うんだと説明したが、少年は聞き入れない。困り果てた父親がその理由を尋ねると、少年はこう答えた。
「でもパパ、この前、悲鳴を上げながら空へ落ちていく人を見た」
88: 2018/05/20(日)16:30:25
>>87
悲鳴をあげながら上に落ちるとか呪いの館かな?
93: 2018/05/20(日)16:33:56
怪談なんて不気味さ重視で特に意味のない物がほとんどやろ
95: 2018/05/20(日)16:34:05
わかるとかわからんとかそういう話でもないやつに説明求める意味
96: 2018/05/20(日)16:34:31
『夕日が沈む前』
これは今から五年位前に実際に体験した話です。
当時、私は会社員で、妹は高校生でした。その日、私は仕事から定時で帰宅し、リビングに入ってすぐソファーに寝転がって漫画を読みはじめました。まだ夕方で、夕日が沈む前だったので電気はつけなくても充分明るかったのを覚えています。
しばらく漫画を読んでいたら、何やら二階から「キャハハ」と笑い声が聞こえてきました。
何人かの話し声がします。
あぁ、また妹が友達連れて二階で遊んでるのか。と思って、気にせず漫画に集中しようとしてたんだけど、だんだん二階で話しが盛り上がってきたようで、笑い声がどんどん大きくなってきました。
あ~うるさいなぁ。と思いながら気にしないように我慢していたんだけど、やがて笑い声が「キャハハハハ」から、「ギャハハハハ!!!!」になり、床をダンダン叩き出しました。
しまいには、笑い声が叫び声になってきて、
「ギャヤァアアアアアアアヴヴヴヴヴヴひひひひゥボォォオオオオオ!!」
とか言いながら、リビングの天井の電気が揺れる位ダン!ダン!ダン!ダン!って蹴りまくってる。
獣の断末魔みたいな。マキシマムザホルモンのデスボイスみたいな声がずっと響いてる。
これには私もムカついて、「はぁ?ありえない!うるさすぎて近所迷惑になるだろ」と、さすがにキレて二階に文句言いに行くことにしました。
リビングから出て廊下を歩き、階段を登ろうとした時に、ふ…と、おかしいことに気がつきました。
廊下の横に玄関があるのですが、…あれ…?私の靴があるだけで…友達の靴どころか……妹の靴もない。え?靴がない? じゃあ、今、この家に居るのは私だけ…!?えっ?じゃあ…さっきの笑い声は…?
と、そこまで気づいた時に、顔をあげてしまったまま金縛りになってしまいました。
さっきまでの笑い声が消えて、家の中は静まりかえっています。
目の前には真っ暗な階段。
シーンとした二階は、暗くて何も見えない。
一気に恐怖が襲ってきて、怖くて早く逃げ出したいのに金縛りで動けずにいたら、二階の奥(妹の部屋の方)から、…ギギ…キィィィッ…と、扉を開ける微かな音がしました。
私はもう恐怖で体中から変な汗かいて、顎がガクガクしてた。少ししてから、…みしっ。………みしっ。と、誰かが床を踏みしめながら歩いてきている音がしてきました。
階段のほうに、誰かくる…!
と思ったとき、がくんと力が抜け、パッと体が自由になり、一目散に階段を離れてリビングに駆け込みました。
リビングに入ったら、すでに部屋が真っ暗になっていたのでびっくりした。いつの間にか日が沈んでいたのです。慌ててリビングの電気をつけて、テレビを大音量でかけて、ソファーで丸まってぶるぶる震えながら、母の帰りを待ちました。
あの時、玄関の靴に気づかなかったら、一体二階で何を見てしまったのだろう…?二階にいったい何が居たのだろう…?
98: 2018/05/20(日)16:35:47
>>96
ホルモンへの風評被害
99: 2018/05/20(日)16:42:44
『死んだ奥さんが使っていた箪笥』
かなりほんのり。高校時代の英語教師に聞いた話。判りやすい授業と淡々としたユーモアが売りで、生徒と余り馴れ合う事はないけれど、中々人気のある先生でした。
昔奥さんが死んだ時、(話の枕がこれだったので、そんな事実初耳だった我々は、その時点で相当びびり気味だったのですが)彼はよく不思議な幻を見たそうです。
それは、もう使う人のない奥さん用の箪笥の引き出しが開き、そこから奥さんが頭半分を出して、ベッドに寝ている先生を見ているというものでした。
彼は「ああ、家族の死で私は精神的に不安定になっているのだな」と病院へ行き、精神科などに相談し薬などを出してもらい、なるべく疲れないよう、ストレスをためない様にしてみましたが、奥さんは相変わらず夜になると箪笥の引き出しに姿を現し、微妙なポージングで彼を見ていたそうです。
精神的なものでないのなら、現実に起こっている事だと判断した先生。ある時その箪笥の引き出しに体を入れ、全身でがたがた揺すりながら、長い時間をかけて引き出しを閉めてしまったそうです。
そこで長い事待っていると、「あら」とかなんとか、奥さんの声がしたそうです。
思えばリアクションを用意していた訳ではない先生。(「冷静なつもりが矢張動揺していたんですね」とか言ってました)困っていると、奥さんが「あなたは太っているから、ここじゃ無理よ」等と言い、先生もそうだなあと思い、またがたがたやって出たそうです。
因にその箪笥はまだ先生のうちにあり、疲れた時などに、奥さんが登場しているのが寝入りばな見えるとの事でした。
『いい話』ではなく『ほんのり』にしたのは、この話の締めとして、「私は大丈夫だったけれど、気弱な人だったら、引き出しに入ったまま死んでもいい、と思ってしまうかもしれない居心地の良さでした」と淡々と語っていました……。
更に、まだ箪笥をお持ちという事が自分的にほんのり。
191: 2018/05/20(日)18:54:51
>>99
タンスはカタカナにしろ
ひょうたんと間違えたわ
192: 2018/05/20(日)18:58:58
>>191
草
100: 2018/05/20(日)16:45:00
『可愛がり』
私は怖くないけど、友人が怖い怖いと言うので自分をネタにしてみる。
私は動物好きだ。でも友人は、「それは違う」と言う。
特に小動物が好きで、手にふわふわした毛皮の感触があるのが楽しい。大学で実験用のネズミを掴んだときは、もぞもぞ動くのが可愛くて撫で回してた。
そしたら友人が、「何やってんの?メチャメチャ苦しがってるじゃん!」と言ってひったくられた。
なるほど、友人の手に移ったネズミは大人しくなった。掴み方が悪かったのかと次のを掴んだら、やっぱりじたじた動いてた。
楽しかったから、今度は友人に渡さずに堪能してたら、凄く気味悪そうに見られた。
「誰が見ても、首を絞められて苦しんで暴れてると分かる様子なのに、何ひとつ感じないで笑ってる私が怖い」
と言っていた。
別に首を絞めたつもりはなかったし、手触りが気持ちよかったから夢中で気づかなかった。
実家に帰省したら、親が猫を飼ってた。可愛いなと思って近寄ったら逃げた。捕まえて抑えて撫で回してたら叱られた。私は遊んでるつもりだったが、猫は本気で苦しがってたらしい。
ついでに言うと、私は赤ちゃんも好きだ。
でも、友人宅で抱かせてもらったら、赤ちゃんが泣き喚いて、慌てて抱き取った友人は、2度と触らせてくれなかった。抱えてただけのつもりだったけど、何か変な持ち方してたらしい。
で、今妊娠中。
友人に話すと、何だか皆が奇妙な顔になる。
さすがに自分の子くらいちゃんと育てられる、と思いたいが、ちょっぴり不安になる今日このごろ。
101: 2018/05/20(日)16:46:49
>>100
中川翔子の将来
108: 2018/05/20(日)16:53:32
『ポケモン』
子供のころ、ゲームボーイのピカチュウバージョンを拾ってラッキーと思ってその場でゲームを始めたら、主人公もライバルもポケモンも名前が全て
お か あ さ ん
になっていた。
気味が悪くなってその場に戻して帰った。
110: 2018/05/20(日)16:54:16
>>108
ライバルの所まで進める前に気づく定期
119: 2018/05/20(日)17:01:35
『電車』
幽霊列車の都市伝説はいくつかあるけど、終電後に乗客満員の列車が走ってて、その乗客が全員こちらを見てた(目があった)って話がぞっとした
122: 2018/05/20(日)17:06:18
『奇形児』
ロシアの複数の研究者が共同で、奇形児に関する調査を行った。調査が行われたこと自体が公式には公表されていないがそれによると、世界の地域ごとの奇形児の発生率を色の濃淡で表した場合アフリカ北部を中心とした幾何学模様が形成されるという。
125: 2018/05/20(日)17:08:46
『全て同一』
その奇妙な事件は田舎町のホテルから始まった。
最初は左脚、次に右腕と、切断された体の一部が町の近辺で次々と発見されたのだ。
鑑定の結果、遺体は全て同一人物のものと解ったが、左腕が三本、頭部が二つ見つかった時点で、警察はこの事件を黙殺することを余儀なくされた
129: 2018/05/20(日)17:11:31
>>125
奇形やったのか
127: 2018/05/20(日)17:09:48
『よく泣く子供だった』
この間たまたま機会があったので、百物語のことは伏せて、親に夏だし何か怖い話でもない?って聞いてみたんだ。
そうしたら母は、えー……と少し考えた後で、思い出したかのように「怖い話というか、不思議な話ならあるよ」というので、どんな話? と聞いてみた。それが、今から書く話。……それにしても、私の話とは思わなかったから、少し驚いたよ。
3人兄弟の末っ子長女だった私は、実によく泣く子供だった。
幼稚園の頃も、小学校に上がってからも、兄がいじめたといっては泣き、お菓子が少ないといっては泣き、誰も構ってくれないといっては泣き。そんなふうだったから、私が泣いたからといって誰ももう困ったり焦ったりはしなかったのだ。それがまた、私が泣くことに拍車をかけていたのだけれど。
夏休みのある日、母がパートから帰ってくると、兄ふたりは近所の友達とゲームをして遊んでいて、私が違う部屋でひとりで遊んでいるのを見つけたのだそうだ。
いつもならこんなときは、兄たちが仲間に入れてくれないとめそめそしているのに、その日に限って、たった一人で楽しそうに遊んでいたらしい。
「今日は泣いてないね?」
母は思わずそう尋ねて、それから失敗したと思ったそうだが、私は笑って頷いたそうだ。「ないてたから、かわってあげたの」それから私はまるで別人になったかのように泣かなくなったそうだ。
実は私は、小学校低学年以前のことは断片的にしか覚えていない。それも、兄や母から聞いたエピソードばかりだ。
もし、「かわってあげた」のだとしたら、元の私はいったいどこにいってしまったんだろう?今の私は、いったいどこの誰なんだろう?
135: 2018/05/20(日)17:19:25
『前を向いたままの女』
中学の時、お兄ちゃんがヤンキーでいつもケンカばっかしてた。その日もお兄ちゃんはケンカして帰ってきて荒れていた。そしてそのまま原チャリで出かけたが、荒れていたお兄ちゃんが半泣きで帰ってきた。
話を聞くと、あるマンションの横を通ったときに、直立してまっすぐ前を向いたままの女が、ずっと横に並列してついてきたそうだ。
どんなにスピードを上げても、「お前来んなよ!」って振り払っても、ずっと前を見たまま直立で。
138: 2018/05/20(日)17:22:39
ちょっと長めのやついくで
140: 2018/05/20(日)17:24:09
『犬の餓死』
ある芸術家が餓死寸前の犬を展示して、『犬の餓死』という芸術を発表した。
しかもこれはまだ最初の布石に過ぎず、私が表現しようとする芸術の準備段階だと宣言した。『犬の餓死』だけでも非人道的なのに、それが準備段階に過ぎないと宣言したことで、様々な人から非難が集中した。ネットでは芸術家のブログは炎上し、自宅には反対するグループが押し寄せ、それらをマスコミが取り上げ更に盛り上がり、収拾がつかない程に社会問題化した。
それを受けて芸術家は新たなコメントをした。
「次の展示に使う犬は、保健所で処分される予定の犬を使用することにします。助けたい人がいらしたらどうぞご自由に」
次の展示が行われる日、展示される美術館では初めて開館前に行列ができていた。
鉢巻をして襷をかけたいかにも抗議団体ですという集団や、興味本位で初めて美術館に訪れましたというような一般人、そしてそれらを面白可笑しく撮ろうする撮影人。
100人以上の人が集まっていたので美術館はいつもより早く開館した。開館するや否や、皆早足で『犬の餓死』が展示されている前に集まった。
前回と同じように動く元気もないような犬が元気なく伏せっていたが、そこに立ててあった看板だけは前回と違った。
『助けたい人がいらしたらどうぞご自由に。』
展示の前に集まった皆が静かに周りを伺う。
多くの人が降りる停留所なのに、停車ボタンを皆なかなか押さないバスの空気に似ていた。
そんな中一人の老婦人が静々と手を挙げた。
「この犬を引き受けたいのですが」
すると奥から芸術家が現れて、わかりましたと犬の縄を看板から解き、老婦人へと手渡し、また奥へと下がっていった。
縄を受け取った老婦人が屈み「もう大丈夫よ」と犬の頭を撫でると、自然に拍手が巻き起こった。
142: 2018/05/20(日)17:24:47
(つづき)
しかしそんな中、芸術家は奥から飄々と現れ、また連れてきた犬を看板に繋いだ。
どういうことだと詰め寄られるが特に気にすることもなく、「今日は10匹連れてきましたから後9匹いますよ」と答えた。
人々は唖然としたが一度できた流れは変わらず、次々と挙手する人が現れた。自分が引き受ける、いいや自分が引き受けると、我先にと手を挙げた。
芸術家は機械的に受け渡しを9回済まし、その日の展示は終了した。マスコミはその様子を何度も放映し、国民もその美談に酔いしれた。
芸術家はその後も精力的に展示を行ったが、『犬の餓死』が完成することはなかった。
どこの美術館でも用意した犬は全て貰い手が現れたからだ。それは数を増やしても変わらなかった。
展示の度に生成され続ける美談が一大ブームを作っていたからだ。
そしていつしかある噂が囁かれていた。
あの芸術家は、処分予定の犬達を救うためにこんな展示を始めたんじゃないだろうかと。
しかしある時、芸術家は突然展示をやめた。ブームの最中だったから人々は不思議がった。
そしてとある記者が尋ねた。
「噂では処分予定の犬を救うためにこの展示をしていたとのことですが、本当でしょうか?」
「いいえ違います。それにもしそれが目的ならば展示をやめるなんておかしいでしょ?」
「では何のために展示をして、そして何故展示をやめられるのですか?」
「それはこれからわかります。そして私の準備はこれで終わったので展示をやめます。どうぞ皆様これから行われる出来事をお楽しみください」
展示は終わった。
謎めいた発言は一時的に話題にはなったものの、その後も特に何かが起こるわけでもなかったので、すぐに忘れ去られた。
そして数ヶ月後。奇妙な現象が起こり始めた。
全国各地の公園などに痩せ衰えた犬が次々と放置され始めたのだ。『助けたい人がいたらご自由に。』と書かれた言葉と共に。
引き受けたはいいものの、流行と偽善の気持ちから挙手した人が殆どで、数ヶ月もする頃には飼うことが嫌になっていた。
どうしたものかと考えつく先は皆同じで、それが芸術家と同じような手段だった。
直接捨てたり保健所に連れて行くよりも心が痛まない。悪いのは、助けることができたのに助けることなく見ていたやつだと。
かくして『犬の餓死』は完成した。多くの人の手によって。
144: 2018/05/20(日)17:28:58
>>142
皮肉があってええな
145: 2018/05/20(日)17:32:24
『集団自殺』
ある高校生の男女各4人が、一人の家に集まって怖い話をしていたそうです。夜もふけてきた所で、肝試しに行くことになりました。
でも本当の目的はむしろ、男女ペアになって行くという事のほうが楽しみだったので、場所は安直に彼らの通う高校に行くことにしたそうです。
しかしこの高校は築100年近くたっていたので、行って見ると思ったより迫力があります。早速男女ペアになって、一組づつ学校の周りを一周することになりました。
構内には入れなかったので、周りを一周するだけならせいぜいかかる時間は20分ほどです。
まず最初の1組が出発しました。皆でひやかしたりしながら、にぎやかに去っていきました。しかし、20分たっても30分たっても戻ってきません。
2人っきりで何をしてるんだろうかとひやかしながら、2組目が出発しました。しかし、やはり彼らも帰ってきません。3組目が出発することになりました。
このころにはさすがに深刻になってきていて、絶対周ったら戻ってくるし、他のやつらも見つけたら連れてくると約束して出発しました。
そしてこの3組目も戻ってきません。一組目が出発して、既に時間は2時間以上立っていました。
とうとう女の子は泣き出しました。残ったもう一人の男の子が、「俺が行ってくる。もし30分たっても俺が戻ってこなかったら警察へいけ。絶対待つなよ。」と言い残して駆け出しました。
そしてその子も戻ってきませんでした。
残された女の子は泣きながら、それでも1時間待ったそうです。そしてその足で、警察へと向かいました。警察官が探しても見つかりません。
しかし夜もすっかり明けたころ、とうとう7人は見つかりました。その高校にはグランドの端に、古くなった旧体育館があるそうです。
そこのトイレを開けると、7人全員が首をつっていたそうです。
女の子の証言から、自殺する理由がないと思われたのですが、結局他殺の痕跡はなく、受験生の集団ヒステリーとして片付けられたそうです。
149: 2018/05/20(日)17:33:18
『地球の演算』
地球の歴史をシミュレートした、とは数多くのロアの語るところだ。某大学のK教授も、数台のパソコンを使ってその研究を行っていた。一台ごとに、温度や大気成分などの全条件を極端に変化させ、結果を演算させた。
だが全ての演算は、現在までの歴史と寸分違わぬ歴史をはじき出したという。
153: 2018/05/20(日)17:39:33
『モザイク模様の落書き』
一昨年くらいの話なんだけど、近所の塀に変なモザイク模様の落書きが散見されることがあった。多分紙とか切り抜いて上からスプレー吹いて壁に転写したんだろう。そういう手口で量産される、コーヒーのBOSSの顔や阿部さんの落書きとかニュースで見たことあったし。
で、肝心のそれは遠目からみると黒いシミなんだけど、近くでみるといかにもな感じ。
iPhoneのアプリに読み込んでみたら、やはりQRコードだった。URL繋いでみると、解像度の小さい動画で、それぞれの落書きの場所の夜の風景を撮ったもの。30秒くらい。
ちなみに、URL見た限りどの動画の置き場も懐かしいことに鳥(※tripod)だった。全く意図不明だし特に事件性も無いので(落書きは軽犯罪だけど)放置した。
で、そんな落書き巡りをしてから一週間後くらいに、自宅脇の電柱にも同じ落書きがされてたのにはちょっと寒気がしたね。
たまたまだと自分に言い聞かせながらQRを開いたら、昼間の明るい映像で、今回初めて人間が映っていた。
動画はコロコロと場面を切り替えていたが似たような内容で、毎場面様々な人が、皆一様に壁に向かって携帯をいじっているシーン。
ただしどのシーンでも壁を指差してる同一人物がいて、その横でもう一人がケータイをいじっている。ケータイをいじる人間の中には自分もいた。”指差してる奴”が自分のすぐ横にいた。
きっとそいつが仕掛け人なんだろうが、落書き巡りしてる時の俺はこんな奴は見てない。
気味が悪かったんで、しばらく戸締りには気をつけた。
160: 2018/05/20(日)17:49:39
『十年位ドラゴン倒したりと忙しい冒険生活送ってた』
十年位ドラゴン倒したりと忙しい冒険生活送ってたんだけど、ふと自分がおかしいことに気づいて、周り見たら精神病棟だった。当時28歳。
改めて医者に解離性障害って聞かされて、学生の頃にとんでもないいじめにあってたことも思い出した。
突発的に精神病が治るのは稀らしくて、もう治ったって主張してから一年経って退院できた。
今は何とか就職できて、多分人並みに暮らせていると自分は思う。
当時は本当にドラクエ的な世界で冒険してたと思い込んでいたから、楽しかった。酒場の女の子と仲良くなったりとか仲間と知らない場所に冒険に出たりとか。話聞いたら全部他の患者とか看護士だったらしいんだけど、それでも楽しかった。
仕事終わって、一人暮らししてるアパートに帰って電気つけた時とかに凄い寂しくなる時があって、たまに帰りたくなる。
161: 2018/05/20(日)17:51:32
>>160
芥川龍之介の河童みたいやな
164: 2018/05/20(日)17:57:13
>>160
倒したドラゴンはなんなのか……
165: 2018/05/20(日)17:57:48
>>164
誰か殺したんやろ
166: 2018/05/20(日)17:58:41
『なんでおりるれか駅』
ついさっき思い出した話、ネタだと思って聞いてくれ。
昔、22年位前、八高線の寄居駅から八王子まで行く途中だったんだけど、
なんか折原駅過ぎてから2時間位電車が止まらないんだよ。やっと変な駅に止まったんだけど…遠い所まで連れていかれたくないので降りてみた…
そしたら狗歯馬駅って看板にある、全然聞いた事無い。いぬしまって書くみたいで、前の駅は折原駅で普通なんだが、次の駅は厄身駅って書いてあった、どう読むかは知らない。
なんか全体的に緑色で空は紫色だし周りは山ばっかで薄暗くて怖い…何だろう?と思って回り見たけど改札出口が無いんだよ!フェンスに囲まれてるだけ…
本能的にココは寒いと思って電車に戻った、ドア閉まりかけてたけど無理矢理乗った、運転手に嫌な顔されたけどね、あと、本当に怖いのはこれからだった、厄身駅ってのを過ぎたんだけど、その次の駅からは電車は一度も止まらなかった、止まらなかったんだけど駅の名前がな…
「なんでおりるれか」
その次の駅は「なんで」次の次は「まどからおりろ」次は「おりろ」次も「おりろ」次も「おりろ」って書いてあった。
なんかもう怖くなって目を瞑ってた…そんでナンと3時間後に小川町駅に着いた!
もう八高線には乗らないと決めた。
170: 2018/05/20(日)18:02:22
>>166
熱い八高線への風評被害
179: 2018/05/20(日)18:10:59
>>166
なんてよむんや?
やだかせん?
180: 2018/05/20(日)18:11:47
>>179
はちこうせん
やぞ
181: 2018/05/20(日)18:11:56
>>180
さんがつ
167: 2018/05/20(日)18:00:53
最後にクッソ有名だけど好きなやつ
『廃墟の落書き』
俺が小学生の頃の話。
俺が住んでいた町に廃墟があった。
2階建てのアパートみたいな建物で、壁がコンクリートでできていた。ガラスがほとんど割れていて、壁も汚れてボロボロだったから、地元の人間でも、あまりこの場所に近づくことはなかったらしい。
ある日、俺は友人と肝試しをすることになって、この廃墟に行くことにした。
まだ昼ぐらいだったから、建物の2階まで上がって建物を探索した。そしたら並んでいる扉のひとつに、文字が書いてあるものがあった。
友人と近づいて確認してみると、扉の前に「わたしは このさきの へやに いるよ」と書いてあった。
俺と友人は扉を開けて中に入り、先に進むことにした。
歩いて行くと分かれ道に突き当たって 、壁に「わたしは ひだり に いるよ」と書いてあった。
少し怖くなったけれど、俺と友人はそのまま左に進むことにした。
すると両側に部屋があるところに突き当たって、壁に「あたまは ひだり からだは みぎ」と書いてあった。
友人はこれを見た瞬間に、半狂乱になって逃げだした。
でも俺はその場所にとどまって、勇気を出して右の部屋に行くことにした。
部屋に入り進んでいくと、突き当たりの壁に「わたしの からだは このしたにいるよ」と書いてあった。
下を見ると、
「ひだりの へやから わたしの あたまが きてるよ うしろ みないでね」。
俺は急いで、その部屋の窓から飛び降りて逃げた。
それからはもう、その場所には近づいていない。
174: 2018/05/20(日)18:05:53
>>167
「わたし」策士だな
いい具合に薄気味悪い話ばかりで楽しかったで 1センスいいな
168: 2018/05/20(日)18:01:00
おしまい
169: 2018/05/20(日)18:01:52
良かった
15: 2018/05/20(日)15:07:57
ええな
知らん話ばっかりや
121: 2018/05/20(日)17:02:02
たしかに知らんの多いな
33: 2018/05/20(日)15:26:25 ID:tw@ba_mian77
夏やなぁ
102: 2018/05/20(日)16:46:54
ワイの将来が一番怖いんだよなぁ
172: 2018/05/20(日)18:04:28
ここの怖い話全てとワイ高卒童貞ニートの将来
どっちが怖い?